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EVENING GLOW OF BETRAYAL ~4~

[The pieces who recriminate]

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―リバティーシティで起こる、様々な事件、事故


―それらを庶民の情報網に届ける役目を果たしているのが新聞や、ニュースと呼ばれる報道要素だ


―その中でも一目おかれている存在がある


―それは新聞でもニュース番組でもない別のジャンルからの刺客、『LC百日戦記』だ


―俗に言われれる雑誌で、情報を伝える即効性には欠けるが、ニュースや新聞では報道されない事件の『裏』を追求し、独自の表現でそれを読むもの目に焼き付ける


―そんなデリケートな立ち位置で情報を届けるこの雑誌、発行しているのはかの有名な『リバティーツリー』



―そして、その雑誌の編集者も事件の『裏』を追ったがためにLCの日常に巻き込まれることとなった








――――ストートンアイランド、高級マンション最上階 A.M.4:23――――

―ストリートギャングとドミニクによるレオーネファミリー襲撃と同時刻、とあるマンションの最上階でこのような会話が展開される



青年「ねぇ、この雑誌、色々ヤバそうなこと書いてあるんだけど、書いてる人たち狙われたりしないのかな」



―爽やかに紡ぎ出された言葉は疑問形ではあるが、どちらかというと独り言のような語調だった



青年「ってかナタリーさぁ、さっきからずっと気難しい顔してるけど、なんかあったの?」



―先刻の言葉とは違い、今度は純粋な疑問からきた言葉だ



ナタリー「その雑誌の編集部、ギャングだとかヤクザだとかにたびたび襲われてるみたいよ」




―ナタリーと呼ばれた女は、無に近い表情で必要最低限に近い言葉で答える


―青年の質問には一つ目だけ答え、後の質問に対しては応じない



青年「へぇ、そこまでして俺たちに伝えたい事があるんだねぇ、ま、俺は別にこんな情報知りたかないけどさ」


―わずかに引きつらせた口元をさらに歪めて不敵に笑う


ナタリー「編集者の方もあんたみたいな奴にには伝えたくはないでしょうね」



―そう答えた女の顔は美人と呼ぶにふさわしく、艶やかな髪が窓から滑り込む風になびき、上品な色気を掻き立てる


―その美しい顔にに冷たいドライアイスを連想させるような表情を貼り付けて会話を成立させる



青年「もう冷たいなぁ・・・あ、分かった、僕が最近外に出かけてばかりだからどこかで浮気してないかって嫉妬してるんだね」

ナタリー「寧ろあんたがいなくて心地いいわ、あといつから私とあなたはそういう関係になったのかしら?気持ち悪いから寄らないで」

青年「へぇやっぱり嫉妬してるんだぁ~、もうしょうがないなぁ、今日はずっとここにいてあげるよ寂しがり屋さん」

ナタリー「・・・・死ねばいいわ」



―温度差のありすぎる会話を展開しながらもナタリーはPCに向かって作業を続ける


―そして青年の方は手にしていたナイフを手で弄び、ダーツの的へと緩やかな弧を描いて突き立てた


青年「さてと・・・・もうそろそろ始まりそうだね、『裏切り』」


―先ほどの笑みをより黒く黒く歪め、的の中心に刺さったナイフを静かに引き抜いた



青年「俺はこの特等席から大人しく見守らせてもらうとするかな」


青年「まぁ、ずっとこの席にいるとも限らないけどね」



―アリを踏み潰す時の子供のような無邪気で残酷な笑みを浮かべながら、青年は窓の外から響く銃声を聞いた









――――ハーウッド、中古車屋裏 A.M.4:28――――0351

ガロォン!! ガロンガロンガロォオォォオォォ!!!

―いかにも、といった雰囲気のローライダーが中古車屋の裏に響く

0355

ガロォオォォ・・・・・・・・・


0396

ジム「お、リカルド、帰ってきたか」


ジム「襲撃は無事成功したぜ、負傷者も奇跡的に0だ」

ジム「で、例のブツの準備はどうなった?」


―リカルドと呼ばれたラテン系の男は片手にサブマシンガンをぶら下げながらジムに説明する

リカルド「あぁ、8ボール自身も最近レオーネの連中に狙われてるらしいからな、予定より遅れるそうだ」 

リカルド「で、そこにいるのが例の元暗殺組織メンバーさんだな?」

0412

ドミニク「あぁそうだ、だがどこでその情報を?」


リカルド「いやぁ俺たちも独自の情報網を持っててな、そんでその網にあんたがレオーネに目ぇ付けられてるって情報が引っかかったんだよ」

リカルド「で、襲撃ついでにあんたを救出したって訳だ」

リカルド「あんたにもレオーネの連中に因縁があるんだろ?敵の敵は味方だ」 


ドミニク「なるほどな、まぁ俺もあいつらは気に食わねぇし、古巣の連中のやり方も性に合わねぇしな、しばらくはここにいさせてもらうとするぜ」

リカルド「はっ 元暗殺者が味方とは心強ぇな」


リカルド「まぁあんたもこっちに来たばかりでレオーネの連中に関して何も知らねぇだろ?軽く説明するぜ」

0408

リカルド「言うまでもなくセントマークス周辺は完全にこいつらの縄張りだ」

リカルド「そして俺らがきた頃から奴ら、ショアサイドの方にもシマを作りやがった」

0404

リカルド「ダム周辺とシダーグローブ辺りは全部奴らのシマになっちまってる」

ドミニク「おいおい、あそこはカルテルの連中がいたはずだぜ?」

リカルド「いやぁそれがな、何年か前にいくつかのギャングを巻き込んででけぇ抗争が起きてな、カルテルは自然消滅したみてぇだ」

リカルド「ま、奴ら以外にも近頃やって来たギャングもいる、極力ショアサイドには近づかないほうがいいだろぉなぁ」

リカルド「まぁ今回の襲撃もあったし奴らも一時は大人しくしてるだろう」

ドミニク「・・・・だったらいいけどな」 


―苦笑を浮かべながら、説明を飲み込んだドミニクは一旦ギャング達の隠れ家をあとにした








――――ベッドフォードポイント、リバティーツリー本社ビル A.M.4:48――――
0884

―とても書籍を発行している会社とは思えないような芸術的な建物から『それ』は送り出される

―『LC百日戦記』

―リバティーシティの『裏』を追求しすぎ、過激な表現などで問題になるなどLCツリーとしては黒歴史な一面もある

―しかし、その問題も含めて熱狂するファンも多く、 今ではLCツリーの経営を支える大きな柱の一つとなっている

0885

―そしてその雑誌の記者こそがLCツリーでもいろんな意味で有名な男、ベネディクト・ディッキンソン

―過去にとあるマフィアによって上司を殺害され、それ以来『非日常』の関係者にしか取材をしなくなった


―原因は単なる上司を殺された恨みではなく、身近な場所で起きた『非日常』との遭遇 が原因だった

0886

― その目は常にどこか遠くの非日常からのスクープを追っている

―以前、俗にジャパニーズマフィア と呼ばれる「粟楠会」の構成員にしつこく取材し、その後日事務所に火炎瓶を投げ入れられ、壁中に『近づくな』とタギングされていた

―しかしその時も彼は恐怖に怯えながらも『非日常』との遭遇に興奮していた 

―その後もしつこく取材を続けたため、何者かに家を燃やされかけてやっと取材を断念した

0887
 
ベネディクト「さてと・・・・・・取材だ取材だ」

0888

―彼が向かったのは西洋作りで落ち着いた雰囲気のシダーグローブにピッタリな屋敷

0889

コンコン、コンコン


―小気味よくノックが響き、静かにドアが開いたその先には―――――――――










――――フォートストートン、商店通り A.M.4:50――――

―俗にジャパニーズマフィアと呼ばれる日本人で構成された犯罪組織

―祖国では「ヤクザ」や「暴力団」などと呼ばれ、恐れられてきた存在だ


―その中でも一際目立つ存在が『粟楠会』だ


0415

スダン!! ズドダンッ!!! ズドダドダダダダダダダ!!!!

―リズミカルな銃声、盾として利用される車両、飛び散る赤い液体に薬莢、そして火薬の匂い


―これでもかというほどに一般的なイメージに純粋な『銃撃戦』が展開されていた


レオーネ「日本の犬共めっ!クタバりやれぇ!!」

―一方は黒いスーツがいかにも、という雰囲気を醸し出す、レオーネファミリー

0441

―そしてもう一方は日本の極道、『粟楠会」

―その現場の指揮を取っているのは粟楠の顔、風本 勝斬(カザモト マサギリ)
 
風本「一歩も引くな!敵を追い詰めて蜂の巣にしろ!」


―的確な指示、というよりは士気を向上させるための掛け声を銃声の合間に紡ぎ出す

0449

レオーネ「畜生ッ!!もうもたねぇ!!」

0448

―その言葉をキッカケとして飛んでくる鉄塊を地面に受け流し、 前転しながらリロードを済ませる

―そして前転からの立ち上がりと同時に引き金に指を掛け、体制が安定する次の瞬間には相手の胸に弾丸を叩き込み、 車の燃料タンク部分に無数の穴を開けた

0462
ガアァァアァァアァァァン!!

―車が激しく爆発するのと同時にその向こうからエンジン音が響き始める

0465

グォォ! ギャギャァァァァァ!!

0475

 ―車から流れるようにして降りたレオーネ戦闘員と粟楠構成員の間を無数の銃弾が駆け抜け、その中の一部が赤い飛沫となって地面を汚す

―そんな状況が数分続き、それは近くにいたリカルド率いるストリートギャングのメンバーにも目撃されていた


 




――――ハーウッド、中古車屋裏 A.M.4:54――――
 
―ドミニクが去ったストリートギャングの隠れ家、

―そこに不意に携帯の着信音が響く


リカルド「あぁ俺だ、どうした?」



―その携帯から聞こえてきたのは衝撃的な事実だった


ギャングメンバー 「レオーネと粟楠の連中が銃撃戦を始めた!!増援を頼む!!」



―その携帯からは声と一緒に銃声のようなものも聞き取れた


―自体を把握したリカルドは、仲間にその状況を伝えた

 0477

リカルド「街が・・・・・・・・・・・・LCが壊れ始めやがった」





To be continued・・・・・・・・・・