タイトル画像[1]
EVENING GLOW OF BETRAYAL ~6~

[The problem interposer dances]

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――――シダーグローブ、屋敷 P.M.5:12――――

0345

グオォオオォォォォォォォォ!!!


レオーネ「チッ、リカルドの連中だ!!潰せェ!!」 

レオーネ「なんでこいつらがここに居やがるんだ!」


0326
 
ズガガゴガゴゴガガン!!!ズゴガガン!!!


リカルド「撃て撃て撃てェェ!!!」

ジム「っらぁ!!喰らいやがれ!!」


―ここは戦場、一つの屋敷をめぐって二つの組織が潰しあいを繰り広げていた

―そこに現れた3台の車、その中から現れたの彼らもまた、この屋敷を自分たちのシマにしようと考えていた


―屋敷の主、粟楠会 

―襲撃者、レオーネファミリー 

―介入者、ストリートギャング


―この三者の間で、三つ巴が始まった

0534
 
ズガガゴガゴゴガガン!!!ズゴガガン!!!

スコット「追い込んでたたみかけろ!!」

ジム「後ろにもちったぁ気ぃ配りなッ!!ハッハァ!!」


0324

ズガァン!!!

レオーネ「ぐぁッ!!畜生!!」

―鈍い衝撃とともに車のそばにいたレオーネはその場に崩れ落ち、別の方向から飛んでくる銃弾を体で受け止め、赤く染まって動かなくなった

0339
タタタタタン!!タタタタタスタタッ!!!


ビル「オラオラオラァ!!日本の犬は引っ込んでなァ!!」

―連射性能の高いハイサイクルサブマシンガンで銃弾をバラまき、あたりを血と銃痕だらけにする

粟楠「ガッ、テメェ・・・・」

―第四者の介入によってさらに混沌とした戦場には先刻よりも多くの血が流れ、多くの悲鳴が鳴り響いた









――――ヘップバーンハイツ、防波堤 P.M.5:14――――
0451

ドミニク「一体、どこで俺の番号を調べたんだ・・・・」


―彼は、英国の暗殺集団、ルバーチェの元構成員だ

―基本、携帯などの連絡手段は特殊な方法でロックをかけており、特定の人間からの通話しか受け付けない仕様になっている

―しかし、そんな彼の携帯に先刻、着信音が響いた


電話の声の主「あはは、繋がった繋がった!、君の事だよね、元暗殺者さんって」

ドミニク「どこでこの番号を?」

電話の声の主「そんなことはどうでもいいじゃないか、僕はね、君と話がしたいんだ」

電話の声の主「別に依頼とかそういうんじゃなくてね、聞きたいことがいーっぱいあるんだよ、あはは」


電話の声の主「ヘップバーンハイツの防波堤に来て、フェリー乗り場の方向から二番目のベンチに座って待っててね」


―その電話の相手は子供のようにキャッキャとはしゃぎながら自分の要件を伝えると、一方的に電話を切った


0452

ドミニク「はぁ・・・なんでまともに受けてるんだよ俺は・・・・」

ドミニク「あいつ、一体どこからかけてきやがったんだ」


―すると、今まで何の気配もなかった自分の前方から、聞き覚えのある声が聞こえる

0462

青年「やぁ、来てくれたんだね、嬉しいよ、君みたいな仏頂面の暗殺者でもこの手は通じるのか、いやぁ知らなかったなぁ」


ドミニク「お前がどうやって俺の携帯に掛けてきたかは知らないが、用がないなら帰るぜ」

青年「ちょっと待ってよ、わざわざ危険を冒してまで暗殺者に会いに来てなにも要件がないわけなじゃないか」

青年「僕が聞きたいのはね、」



青年「3年前の事件の事だよ」

0466

ドミニク「・・・・・それをお前が知ってどうする」


青年「あれ?君は元暗殺者だろ?3年前の事件と言われて思い当たる節はいっぱいあるはずだ、でも今の君の言い方はたくさんある3年前の事件から一つを特定したみたいだったけど」

ドミニク「よく聞かれるんだ、記者とか情報屋とかどっかの政府関係者さんとか、お前みたいな変人にもな」

青年「へぇ、君からあの事を聞く勇気ある人が僕以外にもいたのかぁ、なんか残念だな」


青年「はぁ・・・・・僕ってやっぱり変人かなぁ、みんなそう言うからそうなのかもしれないな」

―苦笑交じりのため息を空へと向けて吐き出すと、ドミニクの方へ向き直り、衝撃的な事実を告げた

0469

青年「まぁ、君が事件について教えてくれるとも思えないし、わざわざ来てくれたんだからお礼をしないとね」

青年「お金は持ってないから代わりにこんな情報を教えるよ」



青年「君のお仲間たちがシダーグローブで派手にやってるよ



ドミニク「!?」

青年「おっと、僕はもうお時間だから帰らせてもらうよ、じゃ、頑張ってね~」


ドミニク「おい待て、それはどういうことだ?」


青年「行って確かめてきなよ」

青年「自分の目でね」


―そう言うと、その青年は影のように裏切りの街に消えた




0487
ブロォォ、ブロロロォォォ!!!


ドミニク「自分の目で確かめろ、・・・か」




――――レッドライト地区、ドミニクの隠れ家 P.M.5:16――――
0006

―ドミニクは隠れ家の前にバイクを停めると、中へと足を運ぶ

0493

ドミニク「こいつを使うのはあの時以来だな・・・・」

―慣れた手つきで弾を込め、いつでも発射可能な状態にした大型リボルバーを懐へ入れた


ドミニク「確かめに行くか・・・・」







――――シダーグローブ、屋敷 P.M.5:18――――
0509

ブロォオォオォォオォォン!!ブロォン!!!

―馬の嘶きのように黒塗りのバイクがエンジンを唸らせ、その場にいた者に威圧と恐怖を与える

―愛称は「コシュタバワー」

―アイルランドの妖精、首無しデュラハンの愛馬、コシュタバワーから取ったもので、その馬もまた首がない

―このバイクもまた、ヘッドライトに異常があり、気まぐれに付いたり消えたり、まるで生きているかのような挙動を見せる

0512

―そして、立場的には「デュラハン」のドミニクは、銃声の鳴り響く三つ巴の真っ只中へと馬を進めた

0541
ズガゴガゴガゴガガンッ!!ズゴガガガガガン!!!

レオーネ「おい!、ドミニクだ!撃ち殺せェ!!!」


0516

ドミニク「クッソぉ!!、遅刻してきたやつへの扱いってのは残酷だなぁ!!」

―ドミニクのリボルバーから激しい銃声と火花が散り、薬莢が地面に転がるのと同時にレオーネの死体も赤く染まり、地に転がる

―次々と介入者が現れる中、彼らも黙ってはいなかった


0567

ウウゥー!! ウウゥー!! ウウゥー!!

―銃撃の音をかき消すようにけたたましいサイレン音が彼らの耳に鳴り響き、見覚えのある車体が目に映り込む

レオーネ「おい!!サツが来たぞ!!」


0568

武装警官「LCPDだ!!動くな!!」


―4台程のパトカーから降りてきた重装備な警官隊は、二つしかない敷地内への入口を器用に封鎖すると、容赦なく銃撃を開始した

0570
スタトタトタタタタタタン!!!

武装警官「敵の数は不明、見たところ粟楠会とレオーネだ!」

武装警官「リカルド等のストリートギャングが介入しているとの情報!」

武装警官「撃て!!撃て!!」


0585
ズガガゴガゴゴガガン!!!ズゴガガン!!!
 
リカルド「くっそぉ!!暴れすぎたか!!、お前ら、イタリアンとジャパニーズは後でいい!!サツを殺せ!!」

―リカルド達が警官隊におぞましい量の銃弾を浴びせ、第四勢力をねじ伏せようと奮闘する中、この抗争を起こした当の本人たちは――――

0579

レオーネ「もう駄目だ、このシマは諦めて逃げるぞ!」

0590
スタタタタタタタタンッ!!!

武装警官「クソぉ、逃がすな!撃ちまくれ!」

0599
グォオォォン!!!グォォォン!!!

武装警官「追え!逃がすな!」

武装警官「近くのユニットを向かわせろ!、パイククリークの東口を封鎖して追い込め!」

―LCPDの本気を見て恐れをなしたのか、残った数人は慌てふためきて撤退していった

0605
グォオォォオォォォン!!

武装警官「絶対に逃がすんじゃない!パイククリーク手前の道路で決めろ!」


―そして屋敷に残ったのはリカルド達と粟楠、LCPDだけとなった

―が、逆転の街はこのままこの抗争を終わらせてはくれなかった


0610
グォォォオ!!ギャギャァ!!

―レオーネの退場により僅かに落ち着いた敷地内をまたかき混ぜるように高級感のあるセダンが現れる

武装警官「おい!風本だ!撃てェ!!」

―乗っているのは先程までフォートストートンでレオーネと銃撃戦を繰り広げていた風本だ

0621
ズガゴガゴガゴガゴゴガガガンッ!!

風本「おい赤林!乗れ!ここは諦めろ!」

赤林「チッ、ここ気に入ってたんだけどなぁ」

―相変わらず飄々とした態度は変わらず、銃から漏れる銃声も止む気配はない

0622

武装警官「風本と赤林の2ショットだ!絶対逃がすな!!」


粟楠「犬は引っ込んでな、クソ野郎!!」



―こうして激しい銃撃戦の末、レオーネ、粟楠、と続いて抗争から抜けていき、残ったのは彼らだけとなった





0628
ズガゴガゴガゴガゴガガンッ!!

スコット「なぁんか俺の使い方が雑じゃねぇか?」

スコット「おわぁ!、落ちるだろうが!安全運転しろ!」

0632
ブロォォン!!ブロロォン!!

リカルド「畜生ぉ、こいつらバリケードを作ってやがる!!」

リカルド「ジム、そのでっけぇSUVで突破してくれ!!」

0635
ガシャァン!!!

ジム「っっらぁぁ!!!」

0636
グォォォォオォン!!!



―介入者が数台のパトカーを連れて撤退し、随分静かになった屋敷から今度は馬の嘶きが響く

0002
ブロォォン!!ブロォォオォン!!!

ドミニク「行くぜ、シューター」


―コシュタバワーをさらに縮めた愛称、シューターで呼びながらアクセルをねじり潰すように強く回す

0516

武装警官「タイヤだ!タイヤをねらえ!」

―迫り来るパトカーと銃撃を避けながら、速度を保ったまま勇ましく走る姿はまさにアイルランドのデュラハンとコシュタバワーそのものだった

0547
ブロォォオォン!!ブロォォォオォン!!!

ドミニク「じゃぁな犬共ぉ!!」

―こうして三者の三つ巴は落ち着き、皆それぞれの場所へ帰ることとなった









―そして、ドミニクを抗争へと導いた当の本人は――――



――――ストートンアイランド、高級マンション最上階 P.M.5:18――――

0648

青年「なんか最近寒くない?」


―沈黙


―沈黙


―沈黙


青年「・・・・・・いや無視かよ」

0687

ナタリー「寒くないわ、全然寒くない」

青年「君はとりあえず僕の意見を否定するんだね」

0657

青年「例の元暗殺者さんだけどさ、シダーグローブに行ったみたいだよ」

ナタリー「へぇー」

青年「ったく、あの人の電話番号とかけかたを探すのに2週間もかかったよ」

ナタリー「ふぅーん」

青年「しかも、何の情報も聞き出せなかったし、とんだ無駄足だったよ」

ナタリー「そうなんだぁー」

青年「・・・君さっきから全然聞いてないよね」

ナタリー「ふぅーん」

青年「・・・・・やべっ、何か泣きそうになってきた」

―全く相手にされていない青年は、テレビのリモコンに手を伸ばす

0691

ナタリー「ねぇ、これ何?」

青年「それ?本物だよ、弾は込めてないけど」

青年「粟楠の旦那に頼まれてたんだ、明日までにいつもの運び屋経由で渡しといて」

0651
 
青年「あ、ほらほら、テレビで例のSTAG特集やってるよ」


「悪化する街の治安とギャングの関連性はあるんでしょうか」
「もちろんあると思いますよ、しかしこの段階で配備するとは、政府もかなり焦っているんでしょうかね」
「まぁしかし、早い段階で配備することはフィンク議員の言うとおり、メリットもあります」
「配備場所はLCPD本部やスタジアム周辺に配備されるとのことですが、これに対してはどう思われますか?」
「リバティーツリーへの配備はツリー側から苦情が出ていますが、資金面での援助をするとの事ですので問題には............


0668

青年「やっぱりなんか寒気がする、風邪ひいたかな」

ナタリー「じゃぁこれ運び屋に届けてくるわ、薬ならそこらへんにあるんじゃない?」

青年「・・・君には僕を心配するというスキルがないようだね」

ナタリー「そんなスキル必要ないわ、そこどいて」

―やはり事務的に返される青年、落ち込んだ様子で自室へと戻っていく

青年「・・・・・・・」






―三つ巴も一段落した様に見えたが、妙なタイミングでの警察組織配備や、LCに怪しい動きが見られ、人々の不安も募る


―そんな中、『古巣』も黙ってはいなかった

―そして駒は揃い、裏切りと逆転に渦巻いた街は、盤上の駒を弄び始める

―それが駒にとっていい影響か、逆に悪影響を及ぼすかは街にとってはどうでも良いことだったのだが・・・・
 





To be continued.........