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EVENING GLOW OF BETRAYAL ~7~

[White stag and black scorpion]
 
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―三つ巴が幕を閉じ、静寂に包まれた曇の暗黒都市


―しかし、その異常なまでの静寂が、嵐の予兆であると気づく者はほとんど居なかった



―暗夜に身をひそめて毒尻尾を躍らせる、黒い蠍を除いて―――――







――――ベッドフォードポイント、高層ビル P.M.2:12――――

0223

―天まで上り詰めるかのように鋭く、高いビル

―無機質なコンクリートで固められた冷たい塔の先端で、それは訪れた

0166









0190
バラララララララ・・・・・・・

0191

―影が立体的に浮き上がったかのような淀みのない黒、黒、黒

0193

―ローターのなめらかな回転があたりに渦を生み出しているように錯覚させ、見たものにただならぬ威圧を与えるその漆黒のヘリは、無駄のない挙動でビルの屋上へと着陸した

0202

―彼らの名は、『ルバーチェ商会』

―しかし、その名はあくまでも『表』の名であり、裏では商会という単語を払拭した『ルバーチェ』という名が存在している

―俗に言う殺し屋、雇われ屋である彼らは、主に暗殺を主体としたビジネスをLCの裏社会で展開している
―その裏ビジネスは暗殺だけにとどまらず、多岐にわたる


―そしてヘリからボディガードを連れて降りてきた黒スーツの男に待ち構えていた幹部が言葉を紡ぐ

0213

グランヴィル「お待ちしておりました、会長」

マルコーニ「事はうまく運んでいるのか?それとも私が来るまでもなかったか?」


―マルコーニ、 フランス系イギリス人で、会長と呼ばれた男は質問を返すと屋上の端へと足を運んだ

0214

グランヴィル「はい、特に問題はありませんが、ストリートギャングの小僧どもが粋がっているようででして・・・我々にはまだ被害が出ていませんが、レオーネの連中は奴らに襲撃を受けたとのことです」

―マルコーニに相対している幹部、グランヴィルは事務的に状況を説明した


マルコーニ「フッ・・・かつての敵も、小僧共にしてやられるほど落魄れていたとはな・・・」

グランヴィル「それと、これは無関係かもしれませんが・・・・・・・」


―グランヴィルは、僅かにためらいながら言葉を紡いだ

グランヴィル「ドミニク・ブラック、奴がまた現れました」

マルコーニ「・・・・・そうか、近いうちに潰しておけ、奴は野放しにしておくとどんどん厄介になっていく」


―マルコーニは一瞬、驚いたような表情を浮かべたが、すぐに顔から表情を消し去り、重く垂れ込んだ曇天を眺めた

0220

マルコーニ「いずれ、この街に思い知らせてやろう」

マルコーニ「誰が盤の所持者なのかを・ ・ ・な」

―意味深な言葉を並べると、満足したように目を細め、顔に黒い笑みを貼りつけた

―まるで、音を殺して獲物を狙う蠍の様に――――








――――アスパトリア、病院 P.M.9:18――――


―蠍が現れる数時間前、SI唯一の病院の駐車場では、また別の集団が群れをなして行動していた

―白い雄鹿、そう呼ばれる武装警察組織、STAGだ

0021

―この国家組織の配備が決定した理由はいたって単純だった


―悪化する街の治安や、マフィアやギャング等の横暴、荒れに荒れる都市を沈め、それらを排除する

―それが彼らの目的、および希望である

0014

STAG「こちらBチーム、至急、装備品補給を要請する」

STAG補給兵「こちら補給チーム、直ちに補給品をそちらへ手配する」

STAG「了解」
 

―無線越しに緊迫感のある会話が行われ、その中で淡々と支給品の手配を要請すると、また哨戒行動へと移る

―特殊部隊のように統率され無駄のない動きは、見るものへ威圧と、安心感をも与える

0017

―数分後、何の問題もなく要請された支給品が二台のバンに分けられて運ばれてきた

STAG補給兵「要請された支給品を手配しました」

STAG「確かに、ご苦労」


―軍隊さながらの規模で展開されているこの組織、今後の街にどう影響するのか、それは誰も承知していなかった


―また、同じようにSTAGが配備されている場所が他にも存在していた
 






――――ベッドフォードポイント、リバティーツリー本社 P.M.1:48――――

0049

―腕が立つ記者が多く務めるリバティーツリー本社ビル

―その建物の影となる中規模駐車場、そこにも白い雄鹿は存在した

0028

STAG「こちらCチーム、異常なし」

―病院よりも狭い敷地内で、高密度で配備されている隊員等

―街の治安が悪化しているため、厳重警戒の状態にある

0023

―STAGの象徴的な白い軍用SUVが数台ほど並べられ、意図があるわけではないが、緑の迷彩服とで妙なコントラストが描き出されていた


―まぁ、もっとも、この地味な社員駐車場に軍事色が塗られている時点で十分奇妙と言えば奇妙なのだが


―そんな状況に、場違いなエンジン音が鈍く彼らの耳に響いた

0051

グオオオオォォォォォ・・・・・・・

0035

―どうやら、いつもこの駐車場に駐車している社員が、いつもどおりここに駐車しようと間違って入ってきてしまったようだ

―現在この駐車場はSTAGが全面的に貸しきっているため、社員であろうとも入る許可は下りていない

0036

STAG「申し訳ありませんが、こちらは我々STAGが移動拠点として使用していますので、駐車はご遠慮ください」

記者「??・・・・・あぁ!そういえば昨日社員会議でそういう議題が出ていたな・・・・いやはや、申し訳ない」

記者「すぐに引き返すよ」

―オドオドと車の移動を始めた記者を事務的な動作で地下駐車場へ案内すると、また哨戒行動へと戻っていった

0047

―地下駐車場へと車を走らせていた記者の横を、緑のピックアップが通りすぎようとしていた

―このまま進めば自分と同じ間違いをしてしまうと悟った記者は、ピックアップに乗る若者記者にガラス越しに話しかけた


記者「おい、君 そっちの駐車場はSTAGの移動拠点だよ」

若者記者「・・・・あぁッ!そうでしたね、すぐ引き返します」

記者「全く、STAGも迷惑なことをしてくれたもんだよ・・・・」

若者記者「ギャングを排除してくれるのはありがたいんですけどねぇ、もうちょっと市民への配慮も考えて欲しいですね」



―記者は若者が自分と同じ反応をしたことに少なからず驚いたが、結局はSTAGに対しての愚痴と世間話に発展した


―そして先刻よりももっと暗く淀んだ曇天は、見上げる雄鹿や蠍をも飲み込んでいるように見えた








――――シダーグローブ、屋敷 P.M.3:53――――

0226

―曇天がさらに重くなり、耐えられなくなった雲から冷たい雨が降り注ぐ

―彼を眠りから目覚めさせたのは冷たい水の僅かな音だった

0227

警官「おい!、生存者がいたぞ!引き上げろ!」

警官「こちらLCPD!、至急救急車の手配を要請する!」

警官「いや、大丈夫だ、ちょっとした凍傷だけで済んでる」


―言っていることは聞こえるが、その意味は全く理解できず、音が鼓膜を通過しているだけの状態だった

―数分後、いつの間にか硬質なシートの後部座席に座らせられていた

0234

ディッキンソン「こ・・・・ここは?」

―震える喉を無理やり制御し、純粋な疑問を運転席の警官にぶつけた

警官「あなたが窓から飛び降りた屋敷ですよ、プールで凍えているところをうちの者が発見したようです」

ディッキンソン「そ・・・そうですか」


―話し終えると、急に力が抜け、凍える体と震える手元の感覚がゆっくりと薄くなっていき、じわじわと視界が眩んで気を失った


警官「大丈・・・すか!?・・・・・しっかり・・・・・し・・・・・たす・・・・・・」

―そして、警官の声がどんど遠くなっていき、最後には無音が彼の耳を襲った








――――ハーウッド、中古車屋裏 P.M.2:37――――


―曇天の色はどこまでも続き、そしてやっと彼らの元へも足を伸ばした

0027

―完全な静寂に包まれたリカルド等のアジト、時が止まったかのように見たものを困惑させる

0026

―ジメついた外壁にはカビのようなものがあちこちに見られる


―そして、建物の中ではこのような会話が展開されていた








0008

ドミニク「なぁ、聞いてなかったんだが、このストリートギャングの名前って何だ?」

リカルド「あぁ、そういえば言ってなかったな」

―リカルドは僅かに間をあけると、その名を口にした


リカルド「ローフィーズ、っていうんだ」

ドミニク「ローフィーズ?、ラテン系の名前か?」

リカルド「由来については長くなるからな、また今度にしてくれや」


―そう言うと、リカルドは車のキーをデスクから取り出し、SSVへと出かけていった

0019

―一方、ドミニクは時間を潰すため、オフィスの奥にある倉庫室へと向かった

0014 (2)

ドミニク「ここは書類資料の棚か」

―ドミニクは無意識に3年前の事件の資料を探していた


ドミニク「・・・・・・・・・」




―そして、我に返ると同時に、3年前の事件についての資料がないことに気づいた

0018

―だが、彼は他に気になる項目を見つけた

ドミニク「これは・ ・ ・」


―その資料に書かれていた内容とは――――






―だが、ドミニクの思考は、激しい熱風と轟音によって遮断された

0033




To be continued..........